「掃除しなきゃ。」
そう思っているのに、体が動かない。
床に物が増えている。
洗濯物もたまっている。
ゴミも捨てたい。
でも、なぜか始められない。
そんな状態が続くと、
「掃除すらできないなんて、自分はおかしいのかな」
「もしかして病気なんじゃないか」
と不安になることもあると思います。
まず知っておきたいのは、掃除ができないという一つの状態だけで、病気かどうかは判断できないということです。
単純に疲れていることもあります。
睡眠不足かもしれません。
仕事や家事で余裕がなくなっていることもある。
物が多すぎて、どこから始めればいいのか分からなくなっているだけかもしれません。
一方で、掃除だけではなく、
これまでできていた家事や仕事までできなくなった
何をするにもやる気が出ない
といった変化が続いている場合は、掃除だけの問題として考えない方がいいこともあります。
この記事では、「掃除できない=病気」と決めつけず、今の自分は、なぜ掃除を始められないのかを一つずつ分けて考えていきます。
この記事で分かること
- 掃除ができないだけで病気とは言えない理由
- 心身の不調が関係している場合
- ADHDと片付けの苦手さの関係
- 病気以外で掃除ができなくなる原因
- 今日から試せる5つの対処法
- 専門家への相談を考えたい目安
- 掃除ができないだけで病気とは限らない
- 掃除だけでなく他のこともできなくなったなら少し注意する
- ADHDでは整理整頓が苦手なこともある
- HSPは病名ではない
- 「病気かどうか」より、まず今の状態を分けてみる
- 病気以外にも掃除できなくなる理由はある
- 物が多すぎて「掃除」までたどり着けない
- 「全部やらなきゃ」で動けなくなっている
- 掃除できないときに試したい5つのこと
- ① 「5分掃除」よりもっと小さくする
- ② 「片付け」と「掃除」を同じ日にやらない
- ③ 掃除道具を「使う場所」に置く
- ④ 元気な日に全部取り返そうとしない
- ⑤ 本当に疲れているなら掃除しない
- 掃除をすれば心も元気になる?
- 掃除ができないときに避けたい考え方
- 相談を考えた方がいいのはどんなとき?
- 今日何をするか迷ったら、この表から一つ選ぶ
- まとめ|掃除ができないなら、自分ではなく原因を見る
掃除ができないだけで病気とは限らない
部屋が散らかっている。
掃除する気になれない。
休日なのに、何も片付けられない。
こうした状態だけで、「病気だ」とは言えません。
掃除は、意外と多くのことを必要とする作業です。
- 何を捨てるか決める。
- 物を元の場所へ戻す。
- 掃除道具を準備する。
- どこから始めるか決める。
- 途中で出てきた物をどうするか判断する。
疲れていると、この一つ一つが面倒になります。
特に仕事や育児などで一日中判断を繰り返していると、家に帰ってから、「もう何も考えたくない」となることもあります。
だからまず、掃除ができない=自分がおかしいと決めないことです。
問題は、掃除以外の生活にも変化が出ているかです。
掃除だけでなく他のこともできなくなったなら少し注意する
厚生労働省の情報では、うつ病では、
- 何もやる気になれない
- 気分が晴れない
- 疲れやすい
- 集中できない
- 眠れない、または寝すぎる
- 食欲が落ちる
- 仕事や家事ができなくなる
といった状態がみられることがあります。(健康日本21アクション支援システム)
ここで重要なのは、「掃除できない」という一つの症状だけを見るわけではないことです。
たとえば、以前は普通にできていたのに、最近は掃除だけでなく、料理もしたくない。人とも会いたくない。仕事にも集中できない。好きだったことも楽しめない。眠れない。
そんな状態まで続いているなら、「自分は怠けているだけ」と片付けない方がいいでしょう。
厚生労働省も、心身の不調があるときは休養を取り、必要に応じて医療機関などへ相談することを案内しています。(健康日本21アクション支援システム)
ADHDでは整理整頓が苦手なこともある
掃除や片付けについて調べると、「ADHDかもしれない」という情報を目にすることもあります。
実際、ADHDの特性として、
- 整理整頓が苦手
- 忘れ物が多い
- タスク管理が苦手
- 優先順位をつけにくい
- 先延ばししやすい
- 部屋がなかなか片付かない
といった困りごとがみられることがあります。政府広報や国立精神・神経医療研究センターでも、このような特徴が紹介されています。(政府オンライン)
ただし、部屋が散らかっている=ADHDではありません。
大人の発達障害は、子どもの頃からの特性や、仕事・生活のさまざまな場面での困りごとなどを含めて専門家が判断するものです。(政府オンライン)
ネットの記事を読んで、「片付けられないから自分はADHDだ」と自己診断する必要はありません。
昔から整理整頓、忘れ物、時間管理など複数のことで強く困っているなら、専門機関へ相談するという選択肢があります。
HSPは病名ではない
掃除ができない原因として、「HSPだから」と説明している記事を見ることもあります。
ただ、HSPは医学的な病名や診断名ではありません。
刺激に敏感だと感じる人が疲れやすかったり、物事に圧倒されやすかったりすることはあるかもしれません。
でも、「掃除できない原因はHSPです」と病気のように扱うのは適切ではありません。
掃除できない理由を考えるなら、「自分はHSPだから」で止めるより、
何に疲れているのか
どの作業で止まるのか
を具体的に見た方が対処しやすくなります。
「病気かどうか」より、まず今の状態を分けてみる
掃除できないときは、原因を一つに決めつけるより、今の状態を分けてみます。
| 今の状態 | まず考えたいこと |
|---|---|
| 最近だけ掃除できない | 疲労・睡眠不足・忙しさ |
| 休日になると何もしたくない | 仕事などで疲れ切っていないか |
| 物が多すぎて始められない | 掃除より先に整理が必要か |
| 全部きれいにしようとして止まる | 目標が大きすぎないか |
| 昔から片付けが極端に苦手 | 自分に合う仕組みが必要か |
| 掃除以外の家事もできない | 心身の状態を確認する |
| 仕事や生活全体に支障がある | 専門家への相談も検討する |
この表で大切なのは、「掃除できない人間」と自分を評価するのではなく、
「今、どの状態にいるのか」
を見ることです。
病気以外にも掃除できなくなる理由はある
掃除できない理由は、心の病気だけではありません。
むしろ日常では、もっと単純な理由もたくさんあります。
疲れていて、掃除に使う体力が残っていない
仕事から帰ってきた。
夕食を作った。子どもの世話もした。
そこから、「よし、部屋を掃除しよう」と思っても無理な日はあります。
心身の疲労回復には休養や睡眠が重要です。厚生労働省の「こころの耳」でも、睡眠など生活習慣からセルフケアを始めることが紹介されています。(こころの健康相談統一窓口)
疲れているなら、掃除より先に寝るという判断が正しい日もあります。
物が多すぎて「掃除」までたどり着けない
床を掃除したい。でも床に物がある。物をどかそうとしたら、「これはどこに置く?」が始まる。
そして止まる。
この場合、問題は掃除ではありません。
片付けです。
- 片付け=物を減らす・戻す・置き場所を決める
- 掃除=ほこりや汚れを取る
部屋を全部きれいにしようとすると、片付けと掃除を同時にやることになります。
当然、重い作業になります。
今日はゴミを捨てるだけ。
明日は机の上の物を戻すだけ。
その次に掃除機をかける。
分けてもいいんです。
「全部やらなきゃ」で動けなくなっている
部屋を見る。散らかっている。キッチンも汚い。洗面所も気になる。風呂も掃除したい。
すると、「全部やらなきゃ」になります。
でも、全部やるには何時間もかかる。
そう思った瞬間、今日はやめようとなります。
なら、全部を目標にしない。
掃除ではなく、一つの作業にします。
「部屋を片付ける」ではなく、「ペットボトルを捨てる」くらいでいい。
掃除できないときに試したい5つのこと
ここからは、
「病気とは思わないけれど、とにかく動けない」というときに試したい方法をまとめます。
全部やる必要はありません。一つ選んでください。
① 「5分掃除」よりもっと小さくする
よく、「5分だけ掃除しましょう」と言われます。
それでも重いなら、もっと小さくします。
ゴミを5個捨てる。
これで終わりでもいい。
ほかにも、
- テーブルの右半分だけ片付ける
- 洗面台だけ拭く
- 洗濯物を一か所に集める
- 空き缶だけ捨てる
- 床にある物を5個戻す
くらいまで小さくします。
重要なのは、部屋をきれいにすることではなく、動き始めること。
一度始めると続けられる日もあります。
続けられなければ、そこで終わってもいい。
5個捨てたなら、5個分は確実に前に進んでいます。
② 「片付け」と「掃除」を同じ日にやらない
散らかった部屋を一気にきれいにしようとすると、やることが多すぎます。
だから、今日は片付け。明日は掃除。でいい。
たとえば、今日
- ゴミを捨てる
- 物を戻す
明日
- 掃除機をかける
- 水回りを拭く
と分けます。さらに、
「捨てるものを探す日」だけでもいい。
仕事と同じで、作業を細かくすると動きやすくなります。
③ 掃除道具を「使う場所」に置く
掃除するために、収納を開ける。掃除機を出す。洗剤を取りに行く。雑巾を探す。これだけでも面倒です。
なら、使う場所の近くに置くという方法があります。
洗面台なら、すぐ取れる場所にクロスを置く。
机なら、小さなゴミ箱を近くに置く。
掃除を頑張るのではなく、掃除を始めるまでの手間を減らす。
習慣にしたい行動は、「やる気」より、やりやすい環境を作る方が続くことがあります。
④ 元気な日に全部取り返そうとしない
数日掃除できなかった。休日になった。
すると、「今日は全部やるぞ」となることがあります。
でも、朝から何時間も掃除して疲れ果てる。
そして次の週末はやりたくなくなる。
これでは続きません。
元気な日でも、少し余力を残して終わるくらいでいいと思います。
掃除は一度きれいにして終わるイベントではありません。生活していれば、また散らかります。
だから、何時間も頑張れる方法より、何度でも戻せる方法の方が大切です。
⑤ 本当に疲れているなら掃除しない
これも選択肢です。
「掃除できないから掃除しなきゃ」ではなく、今日は休む。
仕事でへとへと。睡眠不足。体調もよくない。
そんな状態なら、掃除より先に、食べる。風呂に入る。寝る。
社会人の自分磨きについても、私はまず、
食べる、寝る、掃除する、身なりを整えるといった生活の土台からでいいと思っています。
ただし、
「疲れているから休んでいる」状態が何週間も続き、掃除だけでなく生活全体が動かなくなっている
なら、別の問題として考えた方がいいでしょう。
掃除をすれば心も元気になる?
部屋を掃除したあと、「すっきりした」と感じる人は多いと思います。掃除や片付けそのものが気分転換になることもあります。
ただし、掃除をすれば心の不調が治るとは考えない方がいいでしょう。
つらいときに、「部屋が汚いから気分が落ちているんだ」「掃除すれば元気になるはず」と、自分に大掃除を課す必要はありません。
掃除できそうなら少しやる。
できないほど疲れているなら休む。
そのくらいでいいと思います。
この「部屋と気分」の関係については、別の記事でも改めて調べて詳しくまとめる予定です。
掃除ができないときに避けたい考え方
掃除ができないと、自分を責めやすくなります。
でも、次のような考え方は問題を大きくすることがあります。
「普通の人ならこれくらいできる」
生活環境も仕事量も体力も違います。
誰かと比べても、
自分の部屋は片付きません。
「今日は全部やる」
全部できないと失敗になるので、始めるハードルが上がります。
「散らかっている自分はダメ」
部屋の状態と、自分自身の価値は別です。
今、生活を回す余裕がないだけかもしれません。
「原因を特定してから掃除する」
病気なのか。性格なのか。疲労なのか。
全部分かってから動く必要はありません。
ゴミを一つ捨てるのに、診断名はいりません。
できることと、原因を調べることは同時に進めていい。
相談を考えた方がいいのはどんなとき?
掃除できないだけで、必ず受診する必要があるわけではありません。
ただ、
- 掃除だけでなく料理や洗濯などの家事もできない
- 以前楽しめていたことを楽しめない
- 強い疲労感が続いている
- 集中できない
- 眠れない、または寝すぎる
- 食欲が大きく変わった
- 仕事にも影響が出ている
- 自分を強く責め続けている
など、生活全体に変化が出ている場合は、
掃除の方法だけで解決しようとしないことも大切です。
うつ病では意欲や集中力の低下、睡眠・食欲の変化、仕事や家事への支障などがみられる場合があります。
まずはかかりつけ医などへ相談する方法もあります。
また、働く人向けには厚生労働省の「こころの耳」で相談先やセルフケアに関する情報も提供されています。(健康日本21アクション支援システム)
「病気かどうか自分で確定してから相談する」必要はありません。
分からないから相談する。それでいいと思います。
今日何をするか迷ったら、この表から一つ選ぶ
最後に、今の状態ごとに整理します。
| 今の状態 | 今日やること |
|---|---|
| とにかく疲れている | 掃除より休む |
| どこから始めればいいか分からない | ゴミを5個捨てる |
| 物が多すぎる | 掃除せず、不要な物を減らす |
| 全部やろうとして動けない | 場所を1か所だけ決める |
| 掃除道具を出すのが面倒 | 使う場所の近くへ置く |
| 昔から片付けが極端に苦手 | 自分に合う仕組みを考える |
| 掃除以外の生活も止まっている | 心身の状態を見直し、必要なら相談する |
重要なのは、「部屋全部をきれいにする」ではありません。
今日できることを一つ選ぶ。それだけです。
まとめ|掃除ができないなら、自分ではなく原因を見る
掃除ができないと、
「自分はだらしない」
「普通のこともできない」
と、自分自身を責めてしまうことがあります。
でも、掃除できない理由はいろいろあります。
- 疲れている
- 睡眠が足りない
- 物が多い
- やることが大きすぎる
- 片付けと掃除を同時にやろうとしている
- 整理整頓そのものが苦手
- 心身の調子を崩している
まず、掃除できない自分を問題にするのではなく、
何が掃除を止めているのかを見てください。
- 疲れているなら休む。
- 物が多いなら減らす。
- 大きすぎるなら小さくする。
- 分からないなら、一つだけ捨てる。
そして、掃除だけではなく生活全体が動かなくなっているなら、
「もっと頑張って掃除しよう」以外の方法も考える。
掃除は、人生のテストではありません。
今日はゴミを一つ捨てただけでもいい。昨日より一つ減ったなら、部屋はちゃんと一歩だけ整っています。


