「最近の若い人は、仕事に対する考え方が違う。」
管理する側に回ると、そう感じる場面はあると思います。
- 仕事への熱量。
- 連絡の取り方。
- 残業への考え方。
- 上司との距離感。
少し話しただけでも、「世代が違うなあ。」と思うことはあります。
私自身、自分より18歳年下の部下と仕事をしています。
18歳差です。年齢だけ見れば、親子でもおかしくないくらい離れています。
働き始めたばかりの頃は、何を話してもジェネレーションギャップを感じました。
知っている歌手も違う。
流行ったものも違う。
昔の話をしても通じない。
逆に、向こうが当たり前に知っているものを、私が知らないこともあります。
そして今でも、雑談をしていると普通にジェネレーションギャップを感じます(笑)。
でも不思議なことに、仕事の話では、ほとんどジェネレーションギャップを感じません。
仕事を教えて、同じ仕事について話すようになると、そこにあるのは「18歳上の人」と「18歳下の若者」ではなくなります。
同じ仕事をする人同士です。
私は、職場のジェネレーションギャップをなくす必要はないと思っています。
価値観まで同じになる必要もありません。
大切なのは、価値観を合わせることではなく、仕事に必要な基準を合わせることです。
部下とのジェネレーションギャップは珍しくない
マイナビの「ライフキャリア実態調査2026年版」では、役職者の65.7%が「仕事において部下とのジェネレーションギャップを感じたことがある」と回答しています。
特に多かったのが、「仕事や業務の進め方」の25.6%と、「仕事に対する熱量」の25.3%でした。
つまり、部下との世代差に戸惑っている管理職は珍しくありません。
ただ、私はここで一度考えた方がいいと思っています。
それは本当に、「世代が違うから」なのでしょうか。
例えば、「若い部下は仕事への熱量が低い。」と感じたとします。
でも、その「熱量が低い」とは具体的に何でしょう。
- 定時で帰ることなのか。
- 飲み会に参加しないことなのか。
- 休日に仕事の連絡を見ないことなのか。
- それとも、期限を守らないことなのか。
ここを一緒にしてしまうと、問題の正体が分からなくなります。
「世代が違う」で片づける前に中身を分ける
私は、部下と合わないと感じたときには、少なくとも三つに分けて考えた方がいいと思っています。
一つ目は、価値観の違い。
二つ目は、仕事のやり方の違い。
三つ目は、業務上の問題です。
例えば、「残業せず定時で帰りたい。」
これは、その人の仕事観や価値観です。
「電話よりチャットで連絡したい。」
これは、仕事のやり方の違いかもしれません。
一方で、
- 「期限を守らない。」
- 「遅れるのに報告しない。」
- 「必要な確認をせず、勝手に進める。」
これは、世代の価値観とは別の話です。
業務上の問題です。
ここを、「最近の若い人は考え方が違うから。」
でまとめてしまうと、本来注意すべきことまで価値観の違いで済ませてしまいます。
逆もあります。
本当は何の問題もないのに、
「自分たちの頃とは違う。」という理由だけで、若い部下を直そうとしてしまう。
だからまずは、何が違うのかを具体的にする。
これが大事だと思います。
若い部下を子ども扱いしない
自分より18歳下の人と働いていると、年齢差を感じることは当然あります。
でも私は、仕事では子ども扱いしないようにしています。
経験が少ないなら教えます。
知らない仕事なら説明します。
間違ったところがあれば直します。
でも、「若いから分からないよね。」「最近の子だから仕方ないね。」と、年齢だけで判断する必要はありません。
職場では、親と子ではありません。
上司と部下ではあっても、どちらも仕事をする一人の社会人です。
これは意外と大事だと思っています。
「若い人」という枠で相手を見るようになると、本人を見る前に答えを決めてしまうからです。
部下が何か意見を言っても、
「若いからそう思うんだよ。」で終わってしまう。
仕事への考え方が違っても、
「今どきの若者だから。」で片づけてしまう。
でも同じ20代でも、考え方は全然違います。
40代でも違います。
年齢が同じだから価値観まで同じ、なんてことはありません。
世代を見るより、その人を見る。
管理する立場なら、こちらの方が大切だと思います。
仕事を教えると世代より「共通の仕事」が見えてくる
私が18歳年下の部下と働き始めた頃は、本当に世代差を感じました。
でも、仕事を教えるようになると変わっていきました。
- 「これは何のためにやる仕事なのか。」
- 「ここまでやったら、次は誰に渡すのか。」
- 「これはいつまでに必要なのか。」
- 「こういう場合は確認してほしい。」
そんな話を繰り返しているうちに、仕事の会話では年齢をほとんど意識しなくなりました。
もちろん、経験の差はあります。
私が知っていて、相手が知らないこともあります。
でも、それはジェネレーションギャップというより、単純に経験の差です。
経験の差なら、教えれば埋められます。
そして相手が仕事を覚えてくれば、普通に、
「これどう思う?」
「こっちの方がいいんじゃない?」
と仕事の話ができるようになります。
雑談では今でも、
「え、それ知らないの?」となります(笑)。
でも、それで仕事に困るわけではありません。
ここから私が感じたのは、
ジェネレーションギャップをなくす必要なんてない
ということです。
世代が違うことは、そのままでいい。
仕事には、仕事の共通言語を作ればいいんです。
部下に自分と同じ「熱量」を求めなくていい
管理する側になると、
「もっと仕事に興味を持ってほしい。」
「もっと自分から動いてほしい。」
と思うことがあります。
その気持ちは分かります。
ただ私は、部下に自分と同じ仕事への熱量まで求める必要はないと思っています。
そもそも「熱量」は、とても曖昧なものです。
残業する人は熱量がある。
早く帰る人は熱量がない。
休日も仕事のことを考えている人は熱量がある。
本当にそうでしょうか。
- 定時で帰っても、期限までに仕事を終わらせる。
- 必要な報告をする。
- 品質にも問題がない。
- 周囲に迷惑もかけていない。
それなら、「もっと仕事に情熱を持って。」
まで求める必要はないと私は思います。
管理する側が見るべきなのは、本人の心の中ではありません。
仕事として必要な行動ができているか。
仕事への思い入れや、会社への思い、将来のキャリアまで上司と同じである必要はありません。
合わせるべきなのは価値観ではなく仕事の基準
では、何を合わせればいいのか。
私は、仕事に必要なものだけでいいと思っています。
例えば、
期限、品質、安全、顧客との約束、必要な報告。
会社として決められたルール。
こういうものは、世代に関係なく守る必要があります。
一方で、
仕事にどれくらい人生をかけたいか。
会社にどれくらい思い入れを持つか。
飲み会が好きか。雑談が好きか。
将来どんな働き方をしたいか。
ここまで同じにする必要はありません。
部下の価値観そのものを変えようとすると、お互いに疲れます。他人の価値観は、こちらの都合で簡単に変えられるものではありません。
管理職の仕事は、自分と同じ価値観の人を作ることではありません。
違う人同士でも仕事が回るように、共通の基準を作ること。
私は、その方が大事だと思っています。
「昔はこうだった」は仕事の説明にならない
世代の違う部下と話していると、
「自分たちの頃は普通だった。」と言いたくなる場面もあります。
でも、「昔はこうだったから。」だけでは、仕事の説明になりません。
例えば、「朝はもっと早く来るのが普通だった。」
ではなく、
「この時間から仕事を始めるためには、それまでにこの準備が必要だから、この時間までには来てほしい。」
と説明する。
こちらの方が、仕事として分かりやすい。
必要なのは、昔の常識を覚えてもらうことではありません。
なぜその行動が必要なのかを理解してもらうことです。
これは若い人に限った話でもありません。
何歳でも、「昔からそうだから。」より、
「なぜそうする必要があるのか。」を説明された方が納得しやすいはずです。
部下に合わせすぎる必要もない
ここまで書くと、
「では、管理職が全部若い人に合わせればいいのか。」
と思うかもしれません。
私は、そうは思いません。
価値観を尊重することと、何でも許すことは違います。
- 遅刻を繰り返す。
- 無断で休む。
- 期限を守らない。
- 必要な報告をしない。
- 決められた手順を理由なく無視する。
こうしたものまで、「世代が違うから。」で済ませる必要はありません。
それは価値観ではなく、業務上の問題です。
管理職側だけが我慢して、「若い人はこうだから仕方ない。」と合わせ続けても、良い職場にはならないと思います。
上司も部下も、仕事に必要なところは合わせる。
それ以外は違っていていい。
この線引きが必要です。
違うやり方でも結果が出るなら、それでいい
仕事の基準を守っているなら、途中のやり方まで全部同じにする必要もないと思っています。
上司には、上司が慣れているやり方があります。
長年やってきた方法なので、「このやり方が一番いい。」と思いやすい。
でも、部下には部下のやり方があります。
- 期限を守る。
- 品質にも問題がない。
- 安全にも問題がない。
- 周囲にも迷惑をかけない。
それなら、
自分と違うという理由だけで直す必要はありません。
もちろん、最初に基本の型を教えることは必要です。
何も知らない状態でいきなり自己流に走れば、なぜその手順になっているのか分からないまま、大切な部分まで変えてしまうことがあります。
まず基本を覚える。意味を理解する。そのうえで、自分なりに工夫する。
そこまでできて結果も出ているなら、その方法を認めればいい。
管理職の仕事は、自分のコピーを作ることではないと思っています。
世代が違っても「良い仕事ができる関係」は作れる
マイナビの同じ調査では、ジェネレーションギャップを感じた後、「必要以上に踏み込まないよう、距離を保つ場面が増えた」と答えた人が54.3%、「コミュニケーションを意図的に減らすようになった」が37.0%でした。
距離を取ること自体が悪いとは思いません。
職場の人と、無理に友達になる必要もありません。
私も、職場の人間関係で目指すのは、仲良くなることではなく、良い仕事ができる関係を作ることだと思っています。
だから、雑談が噛み合わなくてもいい。
好きなものが違ってもいい。
仕事への価値観が完全に一致していなくてもいい。
その代わり、何を任せるのか。何を守るのか。どこまで自分で決めていいのか。どんなときに報告するのか。
仕事に必要なところは、きちんと話しておく。
それができれば、年齢差があっても仕事はできます。
まとめ|ジェネレーションギャップはなくさなくていい
部下とのジェネレーションギャップを感じたとき、
「最近の若い人は。」とまとめてしまうのは簡単です。
でも、本当に見るべきなのは年齢ではありません。
何が違うのか。
それは価値観なのか。
仕事のやり方なのか。
それとも、業務上の問題なのか。
そこを分けて考える。
価値観なら、無理に合わせなくてもいい。
やり方が違っても、必要な結果が出ているなら認めればいい。
一方で、期限や品質、報告など、仕事に必要な基準は世代に関係なく合わせる。
私には、自分より18歳年下の部下がいます。
今でも雑談では、しょっちゅうジェネレーションギャップを感じます。
でも、仕事ではほとんど感じません。
それでいいんだと思います。
世代の違いをなくす必要はありません。
お互いの価値観が違っていても、仕事に必要な基準を共有できれば、良い仕事はできます。
管理職が見るべきなのは、「最近の若い人」ではなく、目の前にいるその人と、その人がしている仕事です。


