【プレイングマネージャーがしんどい】仕事を抱えすぎる原因と抜け出し方

書類に囲まれる疲れたマネージャー 管理職・部下育成

自分の仕事がある。
部下も見ないといけない。
会議、評価、育成、トラブル対応まで増える。

その結果、自分の仕事は夕方から。

プレイングマネージャーがしんどいのは、珍しいことではありません。

2026年の調査でも、管理職の多くがプレイヤー業務をかなり抱えています。

大切なのは、「自分の能力不足」と決めつける前に、何を自分で減らし、何を部下へ渡し、何を会社へ返すべきかを分けることです。

この記事では、プレイングマネージャーがしんどくなる原因と、仕事を抱えすぎる状態から抜け出すための考え方を整理します。

この記事で分かること

  • プレイングマネージャーがしんどい理由
  • 自分で抱えすぎている仕事の見つけ方
  • 部下に任せる仕事と自分が持つ仕事の分け方
  • マネジメント時間を確保する方法
  • 会社の役割設計に無理がある場合の見分け方
  • 上司へ相談するときに整理したいこと

プレイングマネージャーは二つの仕事をしている

プレイングマネージャーは、プレイヤーとして自分でも成果を出しながら、同時にマネージャーとしてチームを管理します。

プレイヤーとしては、顧客対応、売上、専門業務、現場作業、自分の担当案件などを持つ。

一方でマネージャーとしては、進捗管理、目標設定、部下育成、評価、面談、トラブル対応、他部署との調整、上司への報告などを行います。

この二つは、似ているようで役割が違います。

プレイヤーは、自分で成果を出す仕事。

マネージャーは、人を通して成果を出す仕事。

問題は、二つの役割を持っても、使える時間は増えないことです。

管理職になっても実務はかなり残っている

2026年のリクルートマネジメントソリューションズ調査では、管理職500人に、仕事のうちどれくらいがマネジメント業務かを聞いています。

最も多かった回答は、「半分がマネジメント、半分がプレイヤー業務」。

次に多かったのは、「マネジメント3割、プレイヤー7割」でした。

つまり、管理職になっても、自分の実務をかなり持ち続けている人は珍しくありません。

「管理職なのだから、管理だけしていればいい」という状態の方が、むしろ少数です。

なぜプレイヤー業務を手放せないのか

「管理職なんだから部下に任せればいい」

言うのは簡単です。

でも現場では、そう単純ではありません。

同じ2026年調査で、管理職がプレイヤー業務を続ける理由の上位には、

  • 部下に知識やスキルが足りず、任せられない
  • 部下自身にも時間の余裕がなく、任せられない
  • 部下へ開示できない情報を含む仕事がある

といった回答がありました。

つまり、任せたくないのではなく、任せられないケースもあります。

人が足りない。部下がまだ育っていない。そもそも部下も忙しい。機密性が高く、管理職しか扱えない仕事がある。

こうした状態を全部「任せ方が悪い」で片づけるのは無理があります。

「自分でやった方が早い」が一番危ない

一方で、本人が仕事を抱え込んでいることもあります。

例えば、

  • 説明するより自分でやった方が早い
  • 失敗されたくない
  • 自分なら30分で終わる
  • まだ部下には任せられない

という状態です。

確かに、その一回だけなら自分でやった方が早い。

でも、毎回自分でやれば、部下はいつまでもできるようになりません。

部下が育たない → 任せられない → 自分でやる → マネジメント時間が減る → さらに部下が育たない、という循環になります。

「自分でやった方が早い」が続くと、知識や仕事を自分だけに抱える状態にもつながります。

人を育てられる人と育てられない人の違いについては、こちらで詳しく書いています。

まず自分の仕事を全部出す

「忙しい」だけでは、何を減らせばいいのか分かりません。

一度、自分がやっている仕事を全部書き出します。

仕事時間自分がやる必要
重要顧客との商談3時間高
見積確認2時間中
定例資料作成2時間低
部下面談3時間高
クレーム対応2時間高
数値集計2時間低
会議5時間要確認

そのうえで、

  • 自分しかできない仕事
  • 今は自分がやるが、将来渡せる仕事
  • 今すぐ他の人へ渡せる仕事
  • そもそも不要な仕事

に分けます。

「忙しい仕事をどう早くするか」の前に、「これは本当に自分がやる必要があるか」を見る。

自分一人の仕事だけでなく、誰から受けて誰へ渡しているかまで整理すると、待ち時間や手戻り、重複も見えます。

仕事全体の流れまで見直したい場合は、こちらの記事がつながります。

【業務フローの作り方】仕事の流れを見える化してムダを見つけよう

自分の仕事の振り分け

任せる仕事は丸投げしない

仕事を減らすために、

じゃあ、これ全部やって。

と部下へ渡せばいいわけではありません。

任せるときは、

  • 何をやるのか
  • どこまで任せるのか
  • いつまでか
  • どこで確認するのか
  • 何が起きたら相談するのか
  • 最終責任は誰なのか

を決めます。

例えば、「見積を作って」だけではなく、

見積書の作成までは任せる。
原価率○%以下、値引き○%以上の場合は提出前に相談。
それ以外は自分で顧客へ提出してよい。

と、判断基準まで渡します。

任せるとは、仕事を捨てることではありません。判断基準を渡して、任せられる範囲を広げることです。

毎回口頭で一から説明していると、管理職の時間はなかなか減りません。繰り返す仕事なら、手順だけでなく判断基準や例外対応まで残しておくと任せやすくなります。

仕事を人へ渡せる形にする方法は、こちらで詳しく解説しています。

任せるには一時的に時間がかかる

部下に仕事を任せると、最初は自分でやるより時間がかかります。

説明する。見守る。質問を受ける。失敗を修正する。フィードバックする。

だから忙しい人ほど、「今そんな余裕ない」となります。でも、ここを越えない限り仕事は減りません。

短期的には、自分でやった方が早い。長期的には、自分でやり続ける方が遅い。ということがあります。

失敗させていい仕事とダメな仕事を分ける

何でも部下に任せればいいわけではありません。

例えば、

  • 重大事故につながる
  • 法令違反になる
  • 顧客へ大きな損害を与える
  • 大きな金額を失う
  • 機密情報を扱う

といった仕事は、任せる範囲を慎重にする必要があります。

逆に、多少の修正で取り返せる仕事なら、経験のために任せることもできます。部下育成と自分の負担軽減は、別々の話ではありません。

部下ができる仕事が増えれば、自分のプレイヤー業務も減っていきます。

マネジメント時間を余った時間にしない

プレイングマネージャーが陥りやすいのが、
「自分の仕事が終わったら部下を見る」という順番です。

でもプレイヤー業務は、なかなか終わりません。
メール、商談、資料、トラブル、追加依頼。
すると、部下面談、育成、仕事の振り分け、チーム改善は後回しになります。

だから、マネジメントは余った時間にやるのではなく、先に時間を取る。

例えば、毎週火曜15時からは部下面談と進捗確認、金曜16時からは翌週の業務配分、というように予定として確保します。

プレイヤー業務を全部捨てる必要はない

一方で、「管理職になったら現場仕事を全部やめるべき」とも限りません。

重要顧客との商談、高度な技術判断、難しい案件、新人にはまだ任せられない仕事。こうした仕事は、管理職が現場に入る意味があります。

現場をまったく知らなくなると、判断しにくくなることもあります。

問題は、プレイヤー業務を持っていることではなく、どこまで持つかが決まっていないことです。

自分のプレイヤー業務に上限を決める

プレイヤー業務を残すなら、どこまで持つかを決めます。

例えば、プレイヤー40%、マネジメント60%。
もちろん、適切な割合は仕事によって変わります。

大事なのは、「できるところまでやる」にしないこと。

「売上も前と同じ」「部下も見る」「会議も増える」「育成もする」では、単純に仕事が上乗せされています。

役職が変わったなら、仕事の配分も変えないといけません。

会社が100+100を求めていないか

本人がどれだけ効率化しても、どうにもならない場合があります。

例えば、管理職になる前は、

プレイヤー業務100。

管理職になった後も、プレイヤー業務は100のまま。

そこへ、

マネジメント業務100。

が追加された。

これでは、200の仕事を100の時間でやれと言われているようなものです。

これは時間管理だけでは解決しません。

管理職が任せられる人材もいない。部下も忙しい。人員も増えない。でも売上も育成も両方求められる。

こういう状態なら、本人だけではなく、会社の役割設計や人員配置も見直す必要があります。

昇進前・昇進後 比較図

上司へ相談するときは「しんどい」だけにしない

上司へ相談するとき、

仕事が多すぎてしんどいです。

だけでは、「みんな忙しい」で終わることがあります。

そこで、仕事量を見えるようにして持っていきます。

プレイヤー業務が週25時間。
会議が8時間。
部下面談・育成が5時間。
管理資料・報告が5時間。
合計43時間です。
突発対応を含めると通常勤務内には収まりません。

そのうえで、

  • プレイヤー業務を減らす
  • 担当案件を移す
  • 会議を減らす
  • 人員を補充する

など、何を変えれば収まるかまで出します。

「大変です」ではなく、「何を減らすか判断してください」にする。

その方が、上司も判断しやすくなります。

全部を自分で解決しようとしない

プレイングマネージャーは責任感が強い人ほど、「自分がどうにかしなければ」となりやすい。

でも、人手不足、部下のスキル不足、業務量、制度、評価基準まで、一人で解決できるわけではありません。

自分の裁量で変えられること、上司に決めてもらうこと、会社が変えなければならないことを分けます。

問題誰が主に動くか
自分が抱え込みすぎ自分
任せ方が曖昧自分
部下の育成自分+会社
人員不足上司・会社
評価基準会社
管理職の業務量上司・会社

全部を「自分のマネジメント能力が足りない」にしないことです。

それでもしんどいなら何が嫌なのか分ける

ここまで整理しても、「もう管理職を続けたくない」と思うことはあります。

そのときも、いきなり「会社を辞めるか、我慢するか」の二択にしなくて構いません。

まず、何が嫌なのかを切り分けます。

  • プレイヤー業務が多すぎる
  • 部下育成が苦手
  • 人を評価するのが嫌
  • 責任が重い
  • 上と下の板挟みがつらい
  • 今の上司との関係がきつい
  • 管理職そのものに興味がない
  • そもそも会社に残りたくない

プレイヤー業務を減らせば続けられるのか。役職を降りれば楽になるのか。別部署なら続けられるのか。会社そのものを辞めたいのか。

管理職そのものに迷いがあるなら、「管理職になりたくない」という段階から整理した記事もあります。

【管理職になりたくない】断ってもいい。でも、その先のキャリアは考えよう

ここからは私の考え|部下育成はもっと前から始まっている

ここからは、今まさに苦しんでいる人へ「もっと早くやっておけばよかった」と言いたいわけではありません。

今後、プレイングマネージャーの負担を減らすために、組織全体で考えたい話です。

私は、部下や後輩を育てるのは、管理職になってから急に始めるものではないと思っています。

プレイヤーの頃から、自分の知っていることを周囲に教える。後輩へ仕事を任せる。困っている人を助ける。自分しかできない仕事を少しずつ減らす。

そうしてきた人は、管理職になっても比較的自然に、「自分がやる」から「人にやってもらう」へ移りやすい。

逆に、ずっと「自分が一番成果を出したい」「この仕事は自分がやった方がいい」「自分よりできる人を作りたくない」という働き方をしてきた人が、管理職になった瞬間だけ部下育成へ切り替えるのは難しいと思います。

管理職になると、評価される対象が変わります。

自分一人が100点を取ることより、チーム全体で成果を出すことの方が重要になります。

私は、個人で「俺が一番」であることをどうしても手放したくない人は、少なくともマネージャーという役割とは相性が悪くなりやすいと思っています。

管理職になったら、「自分が一番できる状態」より、「自分がいなくても回る状態」を作る。

そこへ少しずつ切り替えていく必要があります。

プレイングマネージャーの仕事を4つに分ける

最後に、一度これをやってみてください。

1.自分しかできない

重要顧客、高度な判断、機密業務。

2.今は自分がやるが将来渡せる

難しい見積、顧客対応、資料作成。

3.すぐ任せられる

定型作業、集計、一部の会議。

4.やめられる

誰も見ていない報告、重複入力、意味の薄い会議。

この4つに分けて、2を少しずつ3へ動かす。4は消す。

それだけでも、「全部自分の仕事」ではなくなります。

プレイングマネージャー脱出の流れ

まとめ|頑張って両方やるだけでは続かない

プレイングマネージャーは、プレイヤーとマネージャー、二つの仕事を同時にしています。

だから、しんどくなること自体は不思議ではありません。

大事なのは、自分の能力不足だと決めつけず、

  • 自分が抱え込みすぎているのか
  • 任せ方に問題があるのか
  • 部下を育てる時間が足りないのか
  • そもそも会社の人員や役割設計がおかしいのか

を分けることです。

自分で改善できるところは改善する。
任せられる仕事は任せる。
やめられる仕事はやめる。

そして、会社が決めなければ解決できないことは、会社へ返す。

プレイヤーとして100点、マネージャーとして100点を、一人で同時に出し続ける必要はありません。

どの仕事を自分が持ち、どの仕事を人へ渡し、チーム全体でどう成果を出すかを決めること。それ自体が、マネージャーの仕事です。

参考にした資料