【部下の褒め方】何でも褒めるな。成長した部分を具体的に見よう

部下の褒め方 管理職・部下育成

「部下は褒めて伸ばした方がいい」と言われても、何でも褒めればいいとは思いません。

私がまず見るのは、その人が褒められることでさらに伸びるのか、それとも自己評価だけが上がってしまうのかです。

前までできなかったことができるようになった。
こちらが思いつかなかったアイデアを持ってきた。
そんな成長や自発性は、私はかなり強く褒めます。

一方で、できて当たり前のことまで褒めると、本人の「自分はできている」という感覚を実力以上に押し上げることもあります。

褒める目的は機嫌を取ることではなく、その人が正しい現在地を知り、次の成長につなげることです。

この記事では、実際に部下を見てきた経験から、何を・いつ・どこで褒めるのかを整理します。

  • 何でも褒めればいいわけではない
  • 自己評価と実力のズレを見てから褒める
  • 前より成長した部分や自発的な工夫を褒める
  • 結果だけでなく、再現してほしい行動かを見る

部下の褒め方はまず本人の現在地を見る

部下の褒め方を考える前に、私はまずその人自身を見ます。

褒めたことで自信がつき、「次はもっと良くしよう」と動く人もいます。

実際、私が褒めたあと、前よりさらに良いものを持ってくるようになった人もいました。
こちらが何も言っていないのに、自分で考えて仕上げてくる。

褒められたことをきっかけに、
自分から次の一段を取りにいくタイプ
です。

こういう人には、褒めることが成長の後押しになります。

一方で、もともと「自分はかなりできる」「自分が一番だ」と思っている人もいます。
もちろん、自信があること自体は悪くありません。

問題は、自己評価が実際の実力より高い状態です。

改善点がまだ多いのに、本人はすでに十分できていると思っている。そんな人を何となく持ち上げれば、「やっぱり自分はできている」と現在地をさらに勘違いさせることがあります。

褒める前に、その人に今必要なのは自信なのか、それとも現状認識なのかを見る。

私はここから考えます。

褒めるなら過去の本人との成長を比べる

私が強く褒めるのは、前までできなかったことが、できるようになったときです。
仕事ができる人と比べて、まだ完成度が低かったとしても関係ありません。

見るのは、他の誰かではなくその人自身の変化です。

以前は一人でできなかった作業を任せられるようになった。前は何度も確認していたことを、自分で判断できるようになった。ミスしていたところを意識して直せるようになった。

こういう変化が見えたら、私はかなり褒めます。
「前できなかったところ、できるようになったね」

この一言で、本人は自分の成長を確認できます。

日常の褒め方と、昇給やボーナスの査定は別です。
査定では会社全体の中で他の人との比較が必要になることがあります。

でも、日常で部下を褒める目的は、順位をつけることではありません。

褒めるときは、昨日のその人と今日のその人を比べる。

その方が、本人も何が成長したのかを理解しやすいと思います。

できて当たり前まで褒めると評価が歪む

私は、できて当たり前のことまで無理に褒めません。

決められた仕事を普通にやった。
期限を守った。指示通りに作業した。

それがその人にとってすでに当たり前にできることなら、毎回「すごいね」と言う必要はないと思っています。何でも褒めてしまうと、褒められる側の基準まで変わります。

本来は普通にできるべき仕事なのに、毎回高く評価されれば、「自分はかなりできている」と思うかもしれません。

つまり、上司の褒め方次第で、
本人の自己評価と実力の差をこちらから広げてしまうこともあります。

ただし、同じ仕事でも、前までできなかった人が初めて一人でできたなら話は別です。
その人にとっては成長だからです。

「一般的にすごい仕事か」ではなく、「その人にとって一段上がった仕事か」を見る。

部下の褒め方では、この違いが大切だと思います。

思いつかなかった提案や工夫は強く褒める

もう一つ、私が強く褒めるのが、こちらの想定を超える提案やアイデアを持ってきたときです。

「これ、こうした方が早くないですか」
「こんなやり方を考えてみました」

こちらが指示していないのに、自分で考えて新しい価値を持ってきた。
こういう仕事は、私はかなり褒めます。

なぜなら、褒めたいのは単なる結果だけではなく、
自分で考えて仕事を良くしようとした行動だからです。

その行動を評価すれば、「こういう考え方は会社にとって価値がある」と本人にも伝わります。

人を育てるとき、全部を細かく教え続けるだけでは限界があります。最終的には、自分で考えて動ける人を増やした方が組織は強くなります。

後輩や部下を育てる考え方については、こちらの記事でも書いています。

結果だけ良くても過程が悪ければ褒めない

結果が良かったからといって、必ず褒めるわけでもありません。

たとえば現場で、無理なやり方をしてたまたま早く終わったとします。
結果だけ見れば「早くできた」かもしれません。

でも、そのやり方を続けたらいつかケガをする。周囲に迷惑をかける。次回も同じ結果になるとは限らない。

そんな仕事なら、私は褒めるより注意します。

「今回はたまたま上手くいったけど、そのやり方は続けない方がいい」と伝えます。

褒めるということは、本人に「その方向で続けていい」と伝えることでもあります。

再現してほしくない行動で結果だけ出たときに褒めると、間違った成功体験を与えます。

だから、部下の褒め方では結果と過程をセットで見る必要があります。

個人の成長はできれば二人きりで伝える

私は、部下を褒めるときは基本的に二人きりで伝えることが多いです。

理由の一つは、周囲からのやっかみを避けるためです。
人前で一人だけ何度も褒めれば、「あの人ばかり評価されている」と感じる人が出ることもあります。

もう一つは、二人きりの方が
本気で褒めていることが伝わりやすいと思うからです。

場を盛り上げるために言ったのではなく、あなたの仕事を見ていて、本当にここが良くなったと思っている。
そう伝えるなら、個別に話した方が真剣さが出ます。

私は叱るときも基本的に一対一です。
褒めるときも叱るときも、個人へのフィードバックを見せ物にする必要はないと思っています。

ただし、誰が見ても価値が分かるような提案や成果なら、人前で褒めることもあります。

誰も思いつかなかったようなアイデアを出した。
その提案で実際に仕事が良くなった。

そういうときは、人前で「これすごくいいね」と言っても、なぜ評価しているのかが周囲にも分かります。

個人の成長は二人で。
誰が見ても分かる価値は、その場で。

私はそんなふうに使い分けています。

褒めたあとは次の成長につながる言葉を添える

業績アップを喜ぶビジネスマン

成長した部分を褒めるときは、時と場合によって、その先の話もします。

「ここまでできるようになったの、すごく良くなったね。次はここまでできたらもっといいね」

というような伝え方です。

せっかく成長したのに、すぐ欠点だけを並べれば褒めた意味が薄れます。だから、まずできるようになったことはきちんと認める。

そのうえで、本人がさらに行けそうなら次の目標を見せる。

褒めて終わりではなく、「今ここまで来た。次はここ」と現在地を一緒に確認する感覚です。

逆に、自己評価が実力より高い人には、無理に褒めるより「ここはまだできていない」と具体的に伝える方が必要なこともあります。

部下が思うように動かないときも、単に褒める・叱るだけではなく、その人がどこで止まっているのかを見ることが大切です。

まとめ|褒める目的は本人を伸ばすこと

部下の褒め方に、全員共通の正解はないと思っています。何でも褒めればいいわけでもありません。

  • まず自己評価と実力のバランスを見る
  • 前までできなかったことができたら強く褒める
  • 想定以上のアイデアや自発性を褒める
  • できて当たり前のことまで無理に褒めない
  • 結果だけでなく過程も見る
  • 個人の成長は基本的に二人きりで伝える

私にとって、褒めることは評価そのものではありません。

褒めるのは、その人が今どこまで成長したのか、どの方向へ進めばいいのかを伝えるためです。

自信が足りない人には、成長した部分をしっかり伝える。
自己評価が実力より高い人には、必要以上に持ち上げず、できていない部分を伝える。

部下を喜ばせることを目的にするのではなく、本人の成長に必要な言葉を返す。

その結果として褒めることが必要なら、私は思い切り褒めればいいと思っています。