「やらなきゃいけない。」
そう分かっているのに、なかなか手をつけられない。
嫌な仕事を後回しにする。
面倒な連絡を先延ばしにする。
問題が起きても、できれば見なかったことにしたい。
そんな経験はありませんか。
私はあります。
今でも苦手なのが、取引先への電話です。
電話しなければいけないと分かっているのに、
「もう少し後でいいか」と先延ばしにして、結局リミットギリギリになってから電話することがあります。
そして、「もっと早く連絡しておけばよかった……」
となったことも、一度や二度ではありません。
だから私は、逃げたくなる気持ちそのものを否定するつもりはありません。
嫌なものは嫌なんです。
ただ、そこで本当に逃げてしまっても、問題はなくなりません。
この記事では、逃げ癖や先延ばし癖を直すために、私自身が実践している方法も含めて紹介します。
「嫌じゃなくなる方法」ではありません。
嫌でも、やるべきことに向き合うための方法です。
逃げ癖と先延ばし癖には共通点がある
逃げ癖と先延ばし癖は、少し違います。
逃げ癖は、嫌なことや困難そのものから離れようとすること。
先延ばし癖は、やらなければいけないことを
「後でやろう」と先送りすることです。
ただ、根っこの部分は似ています。
「今はこれに向き合いたくない」という気持ちです。
嫌な仕事を明日に回す。
気まずい相手への連絡を後回しにする。
失敗したことを報告せず、もう少し様子を見る。
その瞬間だけを考えれば、確かにラクになります。
でも、やるべきことが消えたわけではありません。
むしろ時間が経ったことで、問題が大きくなることもあります。
私自身、取引先への連絡を先延ばしにして、「もっと早く連絡していれば、こんなことにはならなかったのに」と思った経験があります。
先延ばししている間はラクでも、後の自分がそのツケを払うことになります。
逃げても問題は何も解決してくれない
「嫌なことからは逃げてもいい」
そんな言葉を聞くことがあります。
もちろん、もう限界まで追い詰められている人にまで、
「逃げるな。立ち向かえ」と言うつもりはありません。
そのまま続けたら心や体を壊してしまう。
そんな状態なら、まずそこから離れることが必要です。
でも、それをすべての人に当てはめて、
「嫌なら逃げてもいい」と考えるのは、私は少し違うと思っています。
冷静に考えてみれば、
逃げることで得られるものは、ほとんどありません。
苦手な仕事から逃げれば、その仕事はできるようにならない。
失敗から逃げれば、なぜ失敗したのか分からない。
人間関係の問題から逃げ続ければ、似たような問題が起きたときにまた困ります。
もちろん、立ち向かったからといって必ず成功するわけではありません。失敗することもあります。
それでも、「やってみたけどダメだった」と、
「嫌だからやらなかった」では、残るものが違います。
やって失敗すれば、少なくとも次に何を変えればいいのか考えられます。
立ち向かった経験は、次に使える経験になります。
逃げたくなることは誰にでもある。
でも、だからといって本当に逃げるのか。
そこは分けて考えた方がいいと私は思います。
一番怖いのは「自分は逃げていない」と思うこと
仕事をしていると、逃げてしまう人を見ることがあります。私が一番問題だと思うのは、逃げたことそのものではありません。
自分が逃げたことを認めないことです。
やるべきことを後回しにした。
報告しなかった。
判断しなければいけないことを誰かに任せた。
その結果、問題が大きくなった。
ここで、「自分が先延ばしにしました」と認められるなら、まだ改善できます。
次は早く動こう。今度はすぐ報告しよう。
そう考えられるからです。
ところが、
「別に逃げたわけではありません」
「こういう事情があったので」
「自分だけの問題ではないですよね」
と、どこか他人事のようになってしまうと、改善するきっかけがなくなります。
本人は心の中で自分を守っているのかもしれません。
でも、その間にも周囲は対応しています。
誰かが代わりに連絡する。誰かが遅れを取り戻す。
誰かが取引先に謝る。
先延ばしした本人が他人事のような態度を取っていたら、周囲だって、「次も助けてあげよう」とは思いにくくなります。
失敗したっていいんです。
先延ばししてしまうことだってあります。
私だって今でもやります。
でも、「自分は逃げた」「自分が先延ばしにした」
という事実くらいは、自分で引き受けた方がいい。
そこを認めることが、逃げ癖や先延ばし癖を直す最初の一歩だと思います。
逃げ癖・先延ばし癖を直す5つの方法
では、逃げたくなることや先延ばししたくなることに、どう向き合えばいいのでしょうか。
私は「逃げたくならない人」になる必要はないと思っています。私自身、今でも嫌な仕事は嫌です。
それなら、気持ちを変えようとするよりも、
嫌でも行動できる状態を作る。
その方が現実的です。
1.まず「自分は逃げている」と認める
最初にやることは、自分の状態を認めることです。
「忙しいからできない」
「まだ急がなくても大丈夫」
「もう少し準備してからやろう」
本当にそうなら問題ありません。
でも、自分の中では分かっている時もありますよね。
「いや、これ嫌だから後回しにしてるだけだな」と。
私は取引先への電話でよくあります。
他にも仕事はある。だから別の仕事をする。仕事をしている以上、サボっているわけではありません。
でも、本当は分かっています。
電話したくないから、別の仕事を先にやっている。
そこで理由をつけて自分まで騙してしまうと、いつまでも変わりません。
まずは、「私は今、これから逃げている」と認める。
それだけでも次の行動を選びやすくなります。
2.やることを小さくして、とにかく着手する
大きな仕事ほど、先延ばししたくなります。
「企画書を完成させる」
「資格試験の勉強をする」
「部屋を全部片づける」
こう考えると、それだけで面倒になります。
そんなときは、最初の行動を小さくします。
企画書なら、まずタイトルだけ書く。
資格の勉強なら、テキストを開く。
片づけなら、机の上だけやる。
全部終わらせようとしなくていい。
まず始める。
一度始めてしまえば、そのまま続けられることもあります。逆に、始めない限り何も進みません。
3.期限を決めて「いつかやる」をなくす
「後でやる」は便利な言葉です。
でも、「後で」には期限がありません。
だから私は、やらなければいけないことほど、
「いつやるのか」を決めた方がいいと思っています。
今日中。午前中。15時まで。この仕事が終わったら。
期限が決まれば、「まだやらなくてもいい」という逃げ道を減らせます。
特に仕事では、自分の先延ばしが自分だけの問題で終わらないことがあります。
自分の作業が遅れれば、その後の人も遅れる。
連絡が遅れれば、相手の判断も遅れる。
だからこそ、「自分の締め切り」だけを見るのではなく、自分が遅れたら誰に影響するのかまで考えておくことが大切です。
4.嫌なことしか残っていない状態を作る
これは、私が実際にやっている方法です。
私は取引先への電話が苦手です。
だから、「電話したくないな」と思うと、別の仕事をやり始めます。
それなら逆に、別の仕事を全部終わらせてしまいます。
メールを返す。書類を作る。確認するものを確認する。
できる仕事を全部片づける。
すると最後には、
「もう、これしかやることがない」
という状態になります。
そこまでいけば、嫌でも電話するしかありません。
ものすごく前向きな方法ではありません。
電話が好きになるわけでもありません。
今でも嫌なものは嫌です。
でも、それでいいと思っています。
嫌なことを好きになる必要はありません。やる必要があるなら、嫌でもやれる仕組みを作ればいい。
私は、やる気やモチベーションだけに頼るより、この方がずっと確実だと思っています。
そもそも、仕事を続けるうえでモチベーションだけに頼るのは不安定です。人が何によって動くのか、仕事への意欲がどう生まれるのかについては、モチベーション理論の記事でも詳しくまとめています。
5.逃げられない仕組みを先に作る
先延ばしを繰り返してしまうなら、自分の意志だけに任せない方法もあります。
- 人に期限を伝える。
- 先に予定を入れる。
- 申し込んでしまう。
- 途中経過を誰かに見せる。
- お金を払って後戻りしにくくする。
自分から逃げ道を減らしてしまう方法です。
私自身、「やる気が出たらやろう」ではなく、逃げられない状況を先に作ることがあります。
やる気がなくても、期限が来ればやる。
気分が乗らなくても、約束していればやる。
それを繰り返しているうちに、結果として前へ進んでいます。
自分を追い込むというと、苦しくなるまで頑張ることのように聞こえるかもしれません。
でも私はそうではなく、「やらない」という選択肢を先に消しておくことだと考えています。
自分を追い込む方法については、こちらの記事で詳しく書いています。
逃げなかった経験は「できた」に変わる
逃げ癖や先延ばし癖を、一日ですべて直すのは難しいと思います。
私だって、今でも先延ばしします。
だから、「もう絶対に先延ばししない人になろう」なんて考える必要はありません。
それよりも、
今日は嫌な電話を一本かけた。
面倒だった報告を先に済ませた。
後回しにしたかった仕事に手をつけた。
そんな経験を一つずつ増やしていけばいい。
私は、人の成長は「できた」の積み重ねだと思っています。それは、大きな成功だけではありません。
「嫌だったけど、逃げずにやった」
これも立派な「できた」です。
嫌だった仕事でも、逃げずにやって「できた」を積み重ねていくと、少しずつ自信がついてきます。
私は、仕事のやりがいも最初から見つけるものではなく、こうした経験の積み重ねの中で生まれてくるものだと思っています。仕事のやりがいについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
一度できれば、次に同じことが起きたとき、
「前も嫌だったけど、結局できた」と思えます。
逃げなかったからといって、苦手なものが急に得意になるわけではありません。
でも、逃げずに向き合った経験は残ります。
その経験が、次に立ち向かうときの自信になります。
まとめ|嫌なものは嫌なままでもいい
逃げ癖や先延ばし癖を直すために、何でも前向きに考えられる人になる必要はありません。
嫌な仕事は嫌。苦手なことは苦手。
私も同じです。
でも、逃げたところで問題そのものが消えてくれるわけではありません。
それなら、
- 自分が逃げていることを認める。
- 小さくても手をつける。
- 期限を決める。
- 逃げ道を減らす。
- そして、嫌でもやる。
その方が、結局は自分のためになります。
逃げてしまったことがあるなら、それも認めればいい。
大事なのは、その事実まで誤魔化して、また同じ逃げ方を繰り返さないことです。
嫌なものは嫌なままでいい。
それでも一歩動けたなら、その経験はちゃんと自分の中に残ります。
「嫌だったけど、やった。」
そんな小さな「できた」を、一つずつ積み重ねていきましょう。




