「1on1で何を話せばいいんだろう。」
部下との面談を任されると、意外とここで悩みます。
こちらから聞いても、「特にないです」「言われたことはやります」で終わる人もいれば、給与、人間関係、仕事量などの要望をはっきり言う人もいます。
私は、1on1で無理に本音を引き出す必要はないと思っています。大切なのは、話しやすい空気を作り、その人が今どんなことを考えて仕事をしているのかを少しずつ知ることです。
そして、出てきた要望をそのまま採用することでもありません。本人の話を聞き、必要なら周囲の話も聞き、実際の仕事を見たうえで判断する。
この記事では、実際に従業員と話してきた経験から、1on1で何を話すのか、話さない人にはどう聞くのか、出てきた要望をどう扱うのかを紹介します。
- 最初は最近の仕事について具体的に声をかける
- 「何かある?」で終わらず、仕事量や人間関係など話題を置く
- 出てきた要望は聞く。ただし、その場ですべて約束しない
- 特に人間関係は片方の話だけで判断しない
1on1で何を話す?まず仕事を見ていると伝える
私が1on1のような場で話すときは、いきなり「何か困ってる?」から入ることはあまりありません。
まずは、「最近、この作業いいね」「この前の対応、助かった。ありがとう」といった、最近の仕事についての話から入ります。
大げさに褒める必要はありません。実際に見ていて良かったことを、そのまま伝えるだけです。
部下からすれば、普段ほとんど会話がない上司から急に「本音を聞かせて」と言われても、話しづらいと思います。
それよりも、まず「あなたの仕事をちゃんと見ています」と伝わった方が、空気は柔らかくなります。
そのうえで、「最近どう?」「仕事量きつくない?」と話を広げていく。
1on1で何を話すか迷ったら、最初から難しい質問を考えるより、まず最近の仕事を一つ取り上げる。私はその方が自然だと思っています。
1on1だけで急に本音を聞こうとしても、普段の距離が遠ければ部下は話せません。上司と部下が「仕事の話ができる関係」をどう作るかは、こちらの記事で詳しく書いています。
→【上司と部下の距離感】仲良くなるより「仕事の話ができる関係」を作ろう
「何かある?」だけでは本音はなかなか出ない
従業員と話していると、よく話す人と、ほとんど話さない人がいます。
よく話す人からは、こんな話まで出ることがあります。
- 給料を上げてほしい
- 上がらないなら辞めることも考えている
- ○○さんとは一緒に働きたくない
- これ以上仕事を増やしてほしくない
1on1で「辞めることを考えている」と打ち明けられたときは、すぐに引き止める前に、本人がもう決めているのか、まだ迷って相談しているのかを確認します。部下から退職相談されたら?引き止める前に上司が考えることで、その後の聞き方をまとめています。
一方で、何を聞いても「言われたことはやります」「特に何もないです」で終わる人もいます。
だからといって、本当に何も考えていないとは限りません。
「何かある?」という質問は、範囲が広すぎます。
本人も何から話せばいいのか分からず、とりあえず「特にないです」と答えていることもあります。
話さない人=不満がない人、と決めつけないこと。
部下の反応を見ながらも、感情を勝手に決めつけずに聞く姿勢にはEQが関わります。【EQとは】管理職ほど必要?仕事で重要な理由と高め方で、自分と相手の感情を扱う考え方を紹介しています。
1on1では、本音を隠していると考えるより、まず「答えやすい聞き方になっているか」を考えた方がいいと思います。
話さない人には具体的な話題をこちらから振る
「特にないです」で終わる人には、こちらから具体的なテーマを出します。
たとえば、こんな聞き方です。
- 今の仕事量はどう?
- この作業、負担になってない?
- 人間関係でやりづらいところはない?
- 給与について気になることはある?
他の従業員から出た話題を使うこともあります。
「最近、仕事量についてこういう声もあるけど、あなたはどう?」くらいに話題を置くと、それまで何も言わなかった人から「実はちょっとしんどいです」「あの仕事は違う人に振ってほしいです」と出てくることがあります。
もちろん、「○○さんがこう言っていた」と名前を出したり、誰の発言か推測できるような伝え方はしません。
大切なのは、他人の話を漏らすことではなく、
相手が答えやすい入口をこちらから作ることです。
1on1で何を話すか分からないときは、仕事量、人間関係、給与、困っている仕事、今後やってみたいことなど、テーマをいくつか持っておくと話しやすくなります。
出てきた要望はその場ですべて約束しない
1on1で話してもらえるようになると、今度は要望が出てきます。
ここで気をつけたいのが、「聞くこと」と「要望を受け入れること」は別だということです。
「この仕事はしんどいので、他の人に振ってほしい」と言われても、その場で「分かった」と仕事を変えるわけではありません。
本人にとっては大変でも、実際に仕事を見てみると、それほど大きな負担ではないこともあります。
逆に、その人がしんどいと言っている裏で、他の従業員にもっと仕事が偏っていることもあります。
私は、まず本人の話を聞きます。必要なら他の人からも話を聞きます。
そして、自分でも実際の仕事内容や仕事量を見ます。
そのうえで、配置を変えるのか、仕事量を調整するのか、そのまま続けてもらうのかを判断します。
1on1は要望をかなえる場ではありません。
要望も含めて、会社や管理する側が判断するための情報を集める場だと考えています。
人間関係の話は片方だけを鵜呑みにしない
特に慎重に扱いたいのが、人間関係の話です。
「○○さんが嫌です」「一緒に働きたくありません」「全然協力してくれません」。こういう話は、1on1でも出てきます。
でも、人間関係では
片方の話だけを鵜呑みにしてはいけません。
たとえばAさんから見れば「Bさんが協力してくれない」でも、Bさんから話を聞くと「Aさんが勝手に進めるから合わせられない」ということもあります。
同じ出来事でも、立場によって見え方はまったく違います。だから私は、その場で「それは相手が悪いね」と判定しません。
まずは「そう感じているんだね」と話を聞く。
そのうえで、相手側の話や周囲の状況も確認し、必要なら実際の仕事の流れを見る。
人間関係の相談では、話を聞くことと事実確認を分けることが大切です。
価値観が違う部下との関わり方に悩んでいるなら、こちらの記事もあわせてどうぞ。
1on1は判断材料を集めるための時間
1on1というと、「部下の本音を引き出す」「成長を支援する」といった少し立派な言葉が並びがちです。
もちろん、それも間違いではありません。
ただ、実際に従業員と話していると、毎回きれいな本音が出てくるわけではありません。
言う人もいれば、言わない人もいる。要望が正しいとは限らない。本人の認識と、実際の仕事の状況が違うこともある。
だから私は、1on1を「その人を理解し、判断するための材料を少しずつ集める時間」くらいに考えています。
話さない人から無理に本音を吐かせる必要はありません。
ただ、定期的に話せる場所があって、こちらから具体的な話題を出せる。その状態を作っておけば、何かあったときに話が出てくる可能性は高くなります。
そして、部下が思うように動いてくれないときも、ただ「言うことを聞かない」と決めつけず、その人が何を考えているのかを知ることは大切です。
部下への対応に悩んでいるなら、こちらの記事も参考になると思います。
まとめ|1on1は本音を無理に引き出さなくていい
1on1で何を話すか迷ったら、特別な質問をたくさん用意する必要はありません。
まずは最近の仕事について、「ここ良かったね」「ありがとう」と具体的に伝える。
そこから仕事量、人間関係、給与、困っていることなど、相手が答えやすいテーマをこちらから出していく。
それでも何も出なければ、その日はそれでもいいと思います。
本音を言わせることではなく、話せる関係と場所を作っておくこと。大切なのは、そこです。
そして、話してくれた要望はきちんと聞く。ただし、その場で全部約束する必要はありません。
他の人の話も聞く。実際の仕事も見る。特に人間関係は片方の話だけで判断しない。
最後に判断するのは、管理する側です。
1on1は、部下の言う通りにするための時間ではありません。
相手を知り、職場を知り、より良い判断をするための時間として使えばいいのだと思います。



