「なんでこの人が上司なんだろう。」
仕事をしていると、上司の判断を見てそう思うことがあります。
なぜ、その仕事をあの人に任せるのか。
なぜ、今それをやるのか。
もっと効率のいい方法があるのに、なぜ変えないのか。
私自身、若い頃から「俺ならこうするのに」と思うことがよくありました。そして今振り返ると、本当に無能だった上司もいました(笑)。
ただ、今は一つ気をつけた方がいいと思っています。
「自分ならこうする」と思っただけで、その上司を無能だと決めつけないこと。
上司には、自分には見えていない情報や事情があるかもしれないからです。
この記事では、上司を無能だと感じたときの見方と、本当に仕事のできない上司だった場合にどう付き合うかを、20年以上働いてきた経験から書いていきます。
- 「俺ならこうする」だけで上司を無能と決めつけない
- 上司には部下から見えない事情があることもある
- 責任転嫁する上司なら、自分の仕事は自分で守る
- 相手を引きずり下ろすより、自分が成長して上に行く
上司が無能に見えても自分には見えない事情がある
若い頃の私は、上司の判断に対してよく疑問を持っていました。
「なんであの人をそこに配置するんだ?」
「なんで今その仕事をやるんだ?」
「俺ならこうするのに。」
特に人の配置や仕事の順番については、今でもかなり気になります。
ただ、若い頃の「俺ならこうする」には危険な部分もあります。自分には、その仕事だけしか見えていないかもしれません。
上司には、顧客との約束、予算、人員、他部署との調整、経営側からの指示など、部下には共有されていない情報があることがあります。
だから、自分から見れば非効率でも、全体を見ればその判断しかできない場合もあります。
「自分の案の方がいい」ことと、「上司が無能」であることは同じではありません。
自分が上司になると部下から見えない事情が分かる
これは、私自身が人を使う側になってよく分かるようになりました。
部下から「これ、こうした方が良くないですか?」と提案されることがあります。
そのときの答えは、だいたい三つです。
- 今のやり方の方がいい
- その案の方がいいので変える
- その案の方がいいのは分かっている。でも別の事情があってできない
三つ目は、部下からすると分かりにくいと思います。
「こっちの方が絶対いいのに、なんでやらないんだ」と思うでしょう。
でも、こちらからすると「それができるなら私もそうしているよ」ということもあります(笑)。
もちろん、説明できることなら理由を説明した方がいいです。それでも会社では、部下にすべての事情を共有できるとは限りません。
上司の判断が理解できないときは、「自分が知らない条件があるかもしれない」と一度考えてみる。
若いうちは特に、この視点を持っておいた方がいいと思います。
経験を積んでも無能に見えるなら本当に無能かもしれない
とはいえ、何でも「上司には深い考えがあるんだ」と納得する必要もありません。
実際、仕事のできない上司はいます(笑)。
若い頃には分からなかった事情も、自分が経験を積めば少しずつ見えるようになります。
人を配置する。仕事の優先順位を決める。顧客と話す。予算を見る。トラブルに対応する。部下を持つ。
そうやって自分も上司側の仕事を経験したうえで、昔と同じように「いや、やっぱりこの判断おかしいだろ」と思うなら、その感覚の精度は若い頃よりかなり上がっています。
私が特に上司の能力を見るのは、人の配置や使い方です。
誰に何を任せるのか。今、何を優先するのか。得意な人をどこに置くのか。
自分ですべての仕事ができなくても、適切な人に任せ、必要な判断をできるなら上司として機能します。
逆に、能力のある部下が揃っていても、配置も優先順位もおかしく、問題が起きても判断できないのであれば、現場は苦しくなります。
責任を押し付ける上司なら自分の仕事は自分で守る
私が特に厄介だと思うのは、自分が出した指示で部下が失敗したのに、その責任まで部下に押し付ける上司です。
こういう人の下では、指示に従って失敗しても
「お前が悪い」。
自分で判断して動いても「勝手なことをするな」。
どちらにしても自分のせいにされる。
私は、そう判断した相手の下では、自分が最善だと思うように動くことがありました。
もちろん、何でも上司の指示を無視すればいいという話ではありません。若いうちに「俺の方が分かっている」と暴走すれば、単に自分が間違っていることもあります。
重要な指示は確認する。必要なら記録を残す。自分だけでは判断できないことは相談する。
それでも、経験上
「この人は自分の判断の責任を取らない」と分かっているなら、自分の頭を止めてまで従う必要はないと思っています。
最終的に被害を受けるのが自分なら、自分の仕事を守るために考えて動く。
ふてくされて仕事を雑にしても、困るのは結局自分です。
手柄を取られても実力まで持っていかれるわけではない
自分で考えて仕事をうまく回した結果、上司がその成果を自分の手柄のように話すこともあります。
これは普通にムカつきます(笑)。
でも、そこで上司を引きずり下ろすことばかり考えても、自分の仕事は良くなりません。
私は心の中で鼻で笑っておけばいいと思っています。
「メッキはいつか必ず剥げる」
一度や二度なら、他人の成果を自分の成果のように見せることはできるかもしれません。
でも、自分で判断する力、人を動かす力、問題を解決する力まで奪うことはできません。
仕事を積み重ねていれば、周囲も少しずつ見ています。
誰が実際に仕事を動かしているのか。誰に聞けば解決するのか。誰が困ったときに頼れるのか。
手柄を取られても、自分に積み上がった実力はなくなりません。
無能な上司を引きずり下ろすことを目標にしない
上司を無能だと思うようになると、相手の悪いところばかり見えるようになります。
「あいつの評価を落としてやりたい」
「周りにも無能だと分からせたい」
そう考えたくなることもあるでしょう。
でも私は、そこに力を使わない方がいいと思っています。
自分の位置をそのままにして、相手を下げることは、誰にとっても何の幸せにもなりません。
相手の位置はそのままでいい。
自分が成長して、その人より上に行けばいい。
仕事を覚える。判断できることを増やす。人を使えるようになる。資格を取る。会社の利益を考えられるようになる。
上司を落とすために使う時間を、自分の価値を上げるために使った方がずっと残るものがあります。
相手を下げても自分が上がるわけではない、という考え方をもう少し広く整理したのが、【人と比べてしまう】他人の成功を自分の基準にしない考え方です。
他人を変えようとするより、自分が変わる方が早いという考え方は、こちらの記事でも書いています。
無能な上司は反面教師として使えばいい
無能な上司の下で働くことにも、一つだけ使い道があります。反面教師です。
人の配置がおかしいなら、「自分が人を使うときはどうするか」を考える。
責任を押し付けてくるなら、「自分は部下に同じことをしない」と覚えておく。
判断が遅いなら、「どこまで情報があれば自分は決められるか」を考える。
上司の悪いところを数えて終わるのではなく、自分が同じ立場になったときの教材にする。
そうすれば、嫌な上司と働いた時間まで自分の経験にできます。
仕事ができる人を考えるとき、単純な速さだけでは判断できません。こちらの記事も参考になると思います。
まとめ|上司を下げるより自分が成長して上に行く
上司が無能に見えると、腹が立ちます。
「自分ならもっと上手くやれる」と思うこともあるでしょう。
でも、まず一度だけ考えてみてください。
その判断には、自分が知らない事情がないか。
自分は上司と同じだけの情報や経験を持ったうえで判断しているか。
それでも経験を積むほど「やっぱりおかしい」と思うなら、本当に仕事のできない上司なのかもしれません。
そのときも、相手を落とすことを目標にしなくていい。
- 自分の仕事は自分で守る
- 必要な指示は確認し、記録を残す
- 上司の失敗から学ぶ
- 手柄を取られても実力を積み上げる
- 相手を下げるのではなく、自分が上に行く
無能な上司のメッキがいつ剥がれるかを待つ必要はありません。
他人のメッキが剥がれるのを待つより、その間に自分が本物になればいい。
私は、その方が自分の人生に残るものはずっと大きいと思っています。



