「3人のレンガ職人」という寓話をご存じでしょうか。
旅人がレンガを積んでいる3人の職人に、同じ質問をします。
「あなたは何をしているのですか?」
1人目は答えます。
「レンガを運んでいます。」
2人目は言います。
「壁を作っています。」
そして3人目は、
「大聖堂を作っています。」と答えます。
仕事の目的を持つことの大切さを教える、とても有名な話です。
私もこの話は好きです。
でも、20年以上建設業で仕事を続けてきた今、私は少し違う考えになりました。
3人目のような考え方は、最初から持てるものではありません。
目的は、教えられるものではない

仕事には目的が大切です。
何のためにやるのか。
誰の役に立つのか。
それを考えながら仕事をする人ほど、成長すると言われます。
確かにその通りでしょう。
でも、新人に「大聖堂を作る気持ちで仕事をしろ。」
と言っても、私は難しいと思います。
大聖堂を知らないかもしれない。
大聖堂を見たことがあっても、実際に作ったことはありません。
完成までの苦労も、積み重ねも、達成感も知りません。
だから、本当の意味で目的を理解することはできないんです。
経験すると、見える世界が変わる

私も建設業の新人だった頃は、
「自分の担当作業を終わらせること」が仕事だと思っていました。
毎日の仕事を覚えるだけで精一杯です。
ところが数年経つと、
少しずつ見える景色が変わってきました。
仕事とは、目の前の作業だけではありませんでした。
例えば、
- 段取りを考えること
- 材料を管理すること
- 他の業者と打ち合わせすること
- 品質を確認すること
- 後輩を育てること
以前は存在すら意識していなかった仕事が、少しずつ見えるようになったんです。
新人の頃と仕事内容が大きく変わったわけではありません。
変わったのは、私の見える世界でした。
経験とは、技術が増えることではない。
見える世界が広がることだ。
仕事以外でも同じ

この感覚は、仕事だけではありません。
勉強もそうです。
参考書を読んだだけでは、
「分かったつもり」になります。
でも問題を解いて、間違えて、復習すると、
「全然理解できていなかった。」と気付きます。
スポーツも同じです。
フォームを知るだけでは勝てません。
反復練習をして、体で覚えて初めて、自分のものになります。
ブログもそうでした。
SEOを勉強しただけでは読まれません。
実際に記事を書き、検索順位を見て、改善を繰り返して初めて、「なるほど、こういうことか。」
と分かるようになりました。
経験すると、知識が増えるだけではありません。
見える景色そのものが変わるんです。
「向いていない」と決めるのは早いかもしれない

最近は、
「自分に向いている仕事を探そう。」
という考え方をよく見ます。
もちろん、人間関係や給与、労働環境が合わないなら、環境を変えることも大切です。
でも、仕事そのものが面白くない。
そう感じているなら、少しだけ待ってみてもいいかもしれません。
仕事の面白さは、最初から見えるものではありません。続けることで、見える世界が広がり、ようやく目的が見えてくることもあります。
3人目の景色は、経験した人だけが見える
私は今でも、「3人のレンガ職人」の話は好きです。
でも、今なら少し違う見方をします。
3人目になるためには、最初から3人目の考え方を持てばいいわけではありません。
レンガを運び、壁を積み、失敗も経験し、
少しずつ仕事が見えるようになった先で、
ある日ふと気付くんです。
「ああ、自分は大聖堂を作っていたんだ。」
その景色は、
誰かに教えてもらうものではありません。
経験を積み重ねた人だけが、
少しずつ見られる景色なのだと思います。
目的は、探すものではない。
経験を積み重ねた先で、気付くものなのかもしれません。
経験を積むには、結局は続けるしかありません。才能よりも、続けられる仕組みの方が大切です。続けるコツについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
経験を積むと、見える世界は広がります。ただ、その経験を言葉にできなければ、人に伝えることも、自分の学びとして整理することもできません。言語化については、こちらの記事で詳しく書いています。
人は言われたから変わるのではなく、自分で気付いたときに変わります。その考え方はこちらの記事でも紹介しています。




